確定申告前に飲食店経営者が絶対に押さえておくべき4つのポイント

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「初めての確定申告だ!面倒だな~」
「2月になった!うちの店の確定申告どうすればいいのだろう?」

このように思う、開業1年目の飲食店経営者は多いと思います。確定申告時にあせらないためには、まず年間の「売上」と「経費」そして「控除」を把握することが必要です。そして飲食店を開業したばかりの方は、飲食店経営者が押さえておくべき4つのポイントを解説いたします。

この5つのポイントは飲食店特有の事情を中心に書いたので、開業したばかりの飲食店経営者だったら絶対に押さえてもらいたい情報です。それでは、本日は税理士の私が、飲食店の確定申告の5つのポイントについて詳しく解説いたします。

ポイント①青色申告なら65万円の所得控除を受けられるが!白色申告にもメリットあり!

確定申告には2つの方法があります。それが

・青色申告(複式簿記での記帳が必要。面倒。)
・白色申告(年間売上と経費を押さえておけばよし!65万円の控除受けられない。)

になります。一つずつ解説いたします。

青色申告は複式簿記での記帳するから、飲食店の方には難しい

まず、税制の面から見れば青色申告は65万円の控除を受けられるのですから、税制で優遇されております。控除とは、カンタンに言うと、税金は売上から経費と控除を引いた課税所得が低いほど税金も安いのです。

課税所得(この額が小さいほど税金も安い) = 売上 - (経費+控除)

そして青色申告をすれば65万円が控除として認められるので、税金が安くなることにつながるのです。ただし、複式簿記で記帳をすることを義務づけられています。

こういったことに慣れていない飲食店経営者には抵抗がありますから、税理士を雇えば、飲食店なら年間15万円で記帳と申告まで行ってくれます。税理士に頼む場合は、銀行通帳や請求書、レシートといったものを全て提供して、作業を代行してもらいます。

◆税理士費用の相場

ただ、記帳を全て自分で行えば、最安で5万円程度で記帳を引き受けてくれる税理士もいます。税理士の費用については下記の過去記事をご覧ください。

過去記事:税理士の費用の最安値は5万円前後!費用相場と5つの注意点をプロが解説

白色申告は家計簿(現金出納帳)で記帳するから、誰でもカンタンに申告できる!

白色申告の場合は、複式簿記で記帳する必要がないので、ザックリ年間の「売上」と「経費」「控除(保険など)」の3つを押さえておくだけで、申告することができます。しかし、青色申告の優遇措置の65万円の控除を受けることができません。そう聞くと皆さんは、

あなた「個人の飲食店で白色申告は損じゃん!白色申告なんてする奴いるのか?」

と思われるでしょうか、白色申告する飲食店の方はたくさんいます。

なぜなら飲食店は基本的に現金商売です。つまり、売上が銀行口座に振り込まれるような商売ではなく(ややこしいのでここではクレジットカードの売上は無視します)売上はお客さんより、現金で直接頂く形がほとんどです。

ですから、正確な売上を把握できるのは飲食店の従業員だけなので、税務署に申告の際に売上を過少申告する方が残念ですが実際にいるのです。

この行為は節税ではなく、脱税なので絶対にやってはいけません。そして税務署職員はそういった脱税はほとんどの場合把握しています。

なぜなら、税務署には膨大に蓄積された申告データがあり、業界毎に「この規模の事業者なら、売上はこれくらいだ!」というのを把握しているのです。

飲食店オーナー「そんなことはない!俺はちょろまかしてるけど、税務署に指摘されたことない!」

という方がいると思いますが、それは税務署が気付いていないのではなく、見逃されているだけで、時間がくれば税務調査を受けることになるでしょう。

税務署に職員に限りがありますから、納税額が大きい人から、税務調査に入られているだけで、いつまでも脱税できるわけではありません。脱税は絶対にやめましょう。

話を戻しますが、白色申告をする飲食店の方にはもう1パターンいます。それは「青色申告が面倒だし、よくわからない」という方々です。とくにご年配の方が多いです。

2月の確定申告の時期に税務署に行くとわかるのですが、白色申告するために端末に列を作っています。端末には税務署のスタッフがついており「何か保険とか入ってないの?控除できるよ!」と結構親切に教えている様子が見られるはずです。

ポイント②10万円を超える厨房機器や内装など高価な費用は数年かけて「減価償却」

厨房機器のような10万円を超える備品に関しては、購入した日に経費として計上するのではなく、減価償却といって、数年にわたって、経費精算をしなくてはいけません。

個人事業者の場合は「定額法」を使って、減価償却します。例えば100万円の厨房機器を購入したとしましょう。

◆100万円の厨房機器の減価償却の例

・器具備品の耐用年数は6年
・厨房機器の値段は100万円

100万円 ÷ 6年 = 16万6,700円(1年あたりの費用計上額)

ちなみに耐用年数については、下記の国税庁のホームページをご覧ください。

国税庁:主な減価償却資産の耐用年数(器具・備品)(その1)

そして、もし購入したものが、車などで「仕事」と「プライベート」の両方で使うものであれば、家事案分しなくてはいけません。例えば、仕事が6割でプライベートが4割の場合は、以下のようになります。

◆家事案分する減価償却の例

100万円 の 60% = 40万円
40万円 ÷ 6年 = 6.6万円(1年あたりの経費)

つまり、プライベートで使用する分については、経費として認められないので、経費にあてる金額が少なくなり、その結果、控除できる金額も少なくなるのです。

 

ポイント③競合店舗の調査!食のイベントに参加!食に関する雑誌の購入!交通費!などは経費にできます

例えば、近所の競合店に視察で食事をしたり、あるいは有名店に行き味の研究をすることは、経費として認められます。その他にも、料理の研究のために食のイベントに参加したり、それにかかる電車代などの交通費はすべて経費として認められます。

つまり、自分の飲食店の仕事と関係があれば、良いのです。レシートやSuicaの履歴をちゃんととっておきましょう。

ポイント④確定申告まで何の用意をしていない!最終手段は「白色申告」

例えば「帳面をつけていない!」「青色申告とかよくわからんし、面倒だ!」という飲食店の方は白色申告をおススメします。白色申告であれば、下記の5つだけ押さえて税務署に行けば、なんとかなります。

◆白色申告に必要な5つの情報
(1)年間売上
(2)年間仕入れ
(3)年間経費
(4)家事消費
(5)保険の控除

これらの情報を押さえておき、税務署に行けば専門のパソコンが用意されています。そのパソコンに従って、必要な情報を入力します。わからない点は、税務署スタッフがいるので、一緒に入力を進めることができます。

ただし、2月15日からはじまる確定申告の時期は、パソコンの前に長蛇の列ができておりますので、この日は結構な待ち時間を覚悟してください。また税務署は土日はやっていないので、平日のみになります。

もちろん、e-Taxなど、家のパソコンからインターネットで、入力することも可能です。

【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

ただ、私の経験ですと、飲食店の方はパソコンが苦手な方が多いです。そうなると結局、税務署の端末で入力される方が多いのが傾向としてあります。

また、白色申告を税理士にお願いすることもできます。その場合も必要な5つの情報を提供しましょう。時間がない場合でも、まずはご自身の地域の近くの税理士を「税理士ドットコム」の下記サイトで探してみましょう。白色申告の場合は、費用で選んでも差し支えありませんが、レスポンスの遅い税理士はやめておきましょう。

税理士ドットコム公式サイト

飲食店の確定申告のまとめ

最近、キャッシュレスが流行っているとはいえ飲食店の基本は、現金商売です。

そして税務調査が入りやすいのも、飲食店を含む現金商売の業界なのです。なぜなら、通帳などで売上が入金される商売は、通帳に証拠が残るので、税金をごまかしようがないのですが、現金商売はグレーな部分があります。

例えば、夜10時以降の売上を隠すという行為は脱税です。絶対にしてはいけませんし、税務署もプロなので、必ず見抜かれます。脱税行為は、かえって税金をたくさん取られてしまうリスクがあるので、そういったことはやめましょう。

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